読み手:松岡 初子(2022年) |
もう外はとても寒くて、北風のひこうきさんがゴー!ゴー!と音をたてています。
くもっこは、
「ヒェ〜!寒いよぉ。」
と、あったかそうな雲のふとんにくるまっています。
おひさまのぽっこりが「いつもならもう起きているのになぁ」と顔をのぞかせて、
「おはよう、くもっこ。今日は元気がないねぇ。風邪でもひいたのかい?」
と心配そうに言いました。
「おはよう。どうも風邪をひいちゃったみたい。」
と、くもっこがつぶやきました。
くもりんがくもっこの様子を見て、おとうちゃんのところに行って言いました。
「くもっこねえちゃん、しんどそう。」
くもりんがこんなふうに言うのは初めてです。くもりんはくもっこのことが大好きなんですね。
おとうちゃんが来て、
「くもっこ、おはよう。くもりんから聞いたんだけど…」
と、くもっこのおでこに手を当てました。
ちょっと熱があるようでしたが、
「1日そーっとしていれば、元気になるからね。」
と、やさしくくもっこのおでこをなでました。
くもっこはおかあちゃんが炊いたおかゆを食べると、すぐにすやすやと眠ってしまいました。
おひさまのぽっこりにやさしく照らされてよく寝たので、くもっこはすっかり元気になりました。
「くもっこねえちゃん、おはよう。よくなった?」
と、くもりんが顔をのぞかせて言いました。
「くもりん、おはよう。うん!よくなったよぉ。くもりんがおとうちゃんたちに伝えてくれたおかげだよ。ありがとうね、くもりん。」
とくもっこが言うと、くもりんはにぃとうれしそうな笑顔になりました。
「くもっこねえちゃん、もうよくなったって言ってたよ!」
くもりんの報告を聞いておとうちゃんが、
「そっかそっか!よかった!」
と言いました。
おかあちゃんがうなづいて微笑んでいました。
今日も北風のひこうきさんがヒューヒュー吹いています。
雪の結晶の妖精さんが、まるで踊っているかのようにきれいに舞い上がって光っていました。
「おかあちゃん、おはよう。あの細くて長くて光っているきれいなものは何?」
くもっこがおかあちゃんに聞きました。
「くもっこ、おはよう。あれかい?あれはね、つららと言ってね、北風のひこうきさんが作ったんだよ!」
と、おかあちゃんが教えてくれました。
「ヘェ〜、つららと言うんだ。」
くもっこは「このつららを叩くとどんな音がするんだろう、きっときれいな音がするんだろうな」と思いながら叩いてみました。
チロチロリン♪
きれいな音にうれしくなって、くもっこはくるりん!と回りました。
そして、家族みんなを呼びました。
「なんだい?くもっこ。」
おとうちゃんが言うと、
「つららがあんまりきれいだから、叩いてみたんだよ。そうしたら…」
チロチロリン♪とつららを鳴らしてみました。
「おおっ!きれいな音だね、母さん。」
「ほんとですね、父さん。」
くもみんとくもたん、くもりんは
「くもっこ、わたしたちもやってみていい?」
と言いました。
「もちろんいいに決まってるよ!おとうちゃんたちだって、一緒にやろうよ!」
くもっこ一家は、つららを鳴らしたり、鬼ごっこをしたりして遊びました。
「とっても寒いけれど、家族といるとこんなにあったかくなるのはなぜだろう。不思議だな。」
くもっこはそう思いながら、またくるりん!とうれしそうに回りました。
(おしまい)