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小川 未明

びっこのお馬

読み手:中田 真由美(2024年)

びっこのお馬

著者:小川 未明 読み手:中田 真由美 時間:12分28秒

 二郎は、ある日、外に立っていますと、びっこの馬が、重い荷を背中につけて、引かれていくのでありました。
 二郎は、その馬を見て、かわいそうに思いました。どんなに不自由だろう。そう思うと、達者な馬は、威勢よく、はやく歩いていくのに、びっこの馬はそれに負けまいとして、汗を流していっしょうけんめいに歩いているけれど、どうしてもおくれがちになるのでありました。
「このびっこめ、はやく歩け……。」と、その馬を引いている親方は、ピシリ、ピシリとこの馬のしりを打つのでした。
 二郎は、ぼんやりと立って、それを見送っていますと、やがて、往来をあちらの方へと、遠ざかっていったのであります。二郎は、まだ六つになったばかりでした・・・

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