中谷 宇吉郎 作
読み手:坂井 あきこ(2026年)
この前二年間アメリカへ來たときに、初めは食い物に不自由するかと思ったが、案外に日本の食い物が何でもあるので、驚きもし、かつ安心もした。
もっともアメリカ中どこでもというわけにはいかないので、サンフランシスコとか、ロスアンゼルスとか、シカゴとかいう街の話である。シカゴは戰前には日本人が五百人くらいしかいなかったが、戰後急に増えて二萬人近くになった。もちろん二世を入れての話である。戰爭中は加州にいた日本人を、大陸の内部に收容した。その人たちが、戰後にアメリカ各地に散在することになったので、シカゴの日本人が急に増えたのである。
二世はほとんど英語しか喋れないが、食い物は、・・・
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