山川 方夫 作
読み手:有紗 ユウ(2026年)
少女は目が大きく、すこし茶色がかった髪の色が、その色白の頬によく似合っていた。だが彼女は、いつもその大きな目で、必死に食い入るようにまじまじと相手を見る癖があった。不幸なことに、彼女は生まれつき耳が聞こえず、また、唖であった。
その町は港で、遠洋に出漁する漁船たちの根拠地の一つだった。彼女は町の、海岸に近い小さな食堂につとめていた。
一羽のカナリヤが、彼女のただ一つのペットだった。小鳥は、夜は食堂の屋根裏――そこが彼女の部屋なのだが――に吊られた籠の中に、昼は彼女の肩の上に、いつもおとなしくとまっていた・・・
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