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楠山 正雄 作

夢殿

読み手:入江 安希子(2026年)

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夢殿

著者:楠山 正雄 読み手:入江 安希子 時間:21分52秒

   一

 むかし日本の国に、はじめて仏さまのお教えが、外国から伝わって来た時分のお話でございます。
 第三十一代の天子さまを用明天皇と申し上げました。この天皇がまだ皇太子でおいでになった時分、お妃の穴太部の真人の皇女という方が、ある晩御覧になったお夢に、体じゅうからきらきら金色の光を放って、なんともいえない貴い様子をした坊さんが現れて、お妃に向かい、
「わたしは人間の苦しみを救って、この世の中を善くしてやりたいと思って、はるばる西の方からやって来た者です。しばらくの間あなたのおなかを借りたいと思う。」
 といいました。
 お妃はびっくりなすって、
「そういう貴いお方が、どうしてわたくしのむさくるしいおなかの中などへお入りになれましょう。」
 とおっしゃいますと、・・・

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