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中谷 宇吉郎 作

樂しい手術

読み手:柏原 恵理(2026年)

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樂しい手術

著者:中谷 宇吉郎 読み手:柏原 恵理 時間:4分23秒

 四年ばかり前に、K國手の手で、扁桃腺をとって貰ったことがある。年とってから扁桃腺をとるのは、そう樂なものではないが、何といっても日本の第一人者であるから、手術そのものは極めて巧く行った。
 しかしあと三日ばかり、ものを飮みこむ時に、ひどく痛くて、全く閉口した。流動物でも、一口飮みこむことが、すでに大變な難事業であった。鯉みたような恰好に、上を向いて口を大きくあけ、生卵を一つ流し込む。そして一二度息をととのえて、度胸をきめて、エッとばかりに飮みこむのである。ちびちび飮んでは、却って痛いからである。
 三日目だったか、まだ依然として痛い・・・

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