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新美 南吉

読み手:入江 安希子(2016年)

著者:新美 南吉 読み手:入江 安希子 時間:37分

 石太郎が屁の名人であるのは、浄光院の是信さんに教えてもらうからだと、みんながいっていた。春吉君は、そうかもしれないと思った。石太郎の家は、浄光院のすぐ西にあったからである。
 なにしろ是信さんは、おしもおされもせぬ屁こきである。いろいろな話が、是信さんの屁について、おとなたちや子どもたちのあいだに伝えられている。是信 さんは、屁で引導をわたすという。まさかそんなことはあるまいが、すいこ屁(音なしの屁)ぐらいは、お経の最中にするかもしれない。
 また、ある家の法会で鐘をたたくかわりに、屁をひってお経をあげたという。これも、おとながおもしろ半分につくったうそらしい・・・

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