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岡本 かの子

男心とはかうしたもの
女のえらさと違う偉さ

読み手:宮崎 文子(2017年)

男心とはかうしたもの 女のえらさと違う偉さ

著者:岡本 かの子 読み手:宮崎 文子 時間:3分23秒

   尊敬したい気持

 結婚前は、男子に対する観察などいつても、甚だ漠然としたもので、寧ろこの時代には、男とも、女とも意識しなかつた位です。
 それが結婚して、やうやく男子に対する自覚が出来、初めて男といふものが解つた時、私の感じたのは、男子といふものは事業慾が強くて、一般に利己主義なものだと思ひました。
 然しかうした考へは、まだ充分に男子といふものが解つてゐない。つまり観察の一階段に過ぎなかつたもので、それから立ち直つて考へて、だん/\男といふものが解つた気もちになつた時、尊敬の念が起るやうになりました。つまり一段階に於いて感じた男子の利己主義も、それをつぐなつて余りあるだけの男の偉さを、第二段に於いて感ずるやうになつたのです・・・

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