夢野 久作 作
読み手:水野 礼子(2019年)
子供が鉛筆を削っているとあまり無茶に削るので何べんでもシンが折れました。
「このナイフがわるいのだ」
と子供は言ってナイフを磨いでコシコシ削りましたが、やっぱりポチポチと黒いシンが折れます。
「この鉛筆がわるいのだ」
と子供はカンシャクを起して鉛筆を折ってしまいました。
「もっといい鉛筆でなくちゃ駄目だ」
鉛筆は折られながら言いました。
「あなたの心をもっといいのにとりかえなくちゃ、いくらいい鉛筆を買ってもだめです」
© & ℗ 一般社団法人 青空朗読. All Rights Reserved.
Unauthorized duplication and distribution are strictly prohibited.
(掲載の音声、文章、デザイン等の無断転載・公衆送信を禁じます)