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坂口 安吾

新人へ

読み手:水野 久美子(2020年)

新人へ

著者:坂口 安吾 読み手:水野 久美子 時間:4分53秒

 如何に生くべきか、ということは文学者の問題じゃなくて、人間全体の問題なのである。人間の生き方が当然そうでなければならないから、文学者も亦そうであるだけの話である。
 如何に生くべきか、が人間のあたりまえの問題でなくて、特に文学だけの問題のように考えられているところに、日本文学の思想の贋物性、出来損いの専門性、一人ガテンの独尊、文学神聖主義があるのだろう。
 罪の自覚、そして孤独の発見は文学のふるさとだけれども、それは又、人間全体の生き方の母胎でもあって、およそ、文学固有の生き方、態度、思想、そういう特別なものは有り得ない・・・

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