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小川 未明

一粒の真珠

読み手:塚田 悦子(2021年)

一粒の真珠

著者:小川 未明 読み手:塚田 悦子 時間:11分23秒

 ある町にたいそう上手な医者が住んでいました。けれど、この人はけちんぼうで、金持ちでなければ、機嫌よく見てくれぬというふうでありましたから、貧乏人は、めったにかかることができませんでした。
 それは、雪まじりの風の吹く、寒い寒い晩のことです。
「こんな晩は、早く戸を閉めたがいい。たとえ呼びにきても、金持ちの家からでなければ、留守だといって、断ってしまえ。」といいつけて、医者は、早くから暖かな床の中へ入ってしまいました・・・

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