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小川 未明

からす

読み手:滝川 ゆきえ(2021年)

からす

著者:小川 未明 読み手:滝川 ゆきえ 時間:8分23秒

 頭が過敏すぎると、口や、手足の働きが鈍り、かえって、のろまに見えるものです。純吉は、少年の時分にそうでありました。
 学校で、ある思慮のない教師が、純吉のことを、
「おまえは、鈍吉だ。」と、いったのが原因となって、生徒たちは、彼のことを鈍ちゃんとあだ名するようになりました。
「ドンチャン、早くおいでよ。」
 学校への往復に友だちは、こういったものです。しまいには、本名をいうよりか、仲間の間柄だけに、あだ名で呼ぶほうが、親しみのあった場合もあるが、そばを通ったどらねこに、石を投げるのが遅かったからといって、心から軽蔑した意味で、
「ドンチャンでは、だめだなあ。」と、いったものもあります・・・

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