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新美 南吉

かぶと虫

読み手:滝川 ゆきえ(2021年)

かぶと虫

著者:新美 南吉 読み手:滝川 ゆきえ 時間:13分3秒

   一

 お花畑から、大きな虫が一ぴき、ぶうんと空にのぼりはじめました。
 からだが重いのか、ゆっくりのぼりはじめました。
 地面から一メートルぐらいのぼると、横に飛びはじめました。
 やはり、からだが重いので、ゆっくりいきます。うまやの角の方へ、のろのろといきます。
 見ていた小さい太郎は、縁側からとびおりました。そして、はだしのまま、ふるいを持って追っかけていきました。
 うまやの角をすぎて、お花畑から、麦畑へあがる草の土手の上で、虫をふせました。
 とってみると、かぶと虫でした。
「ああ、かぶと虫だ。かぶと虫とった。」
 と、小さい太郎はいいました。けれど、だれも、なんともこたえませんでした・・・

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