小泉 八雲 作 戸川 明三 訳 葬られたる秘密読み手:遠田 恵子(2009年) |
むかし丹波の国に稻村屋源助という金持ちの商人が住んでいた。この人にお園という一人の娘があった。お園は非常に怜悧で、また美人であったので、源助は田 舎の先生の教育だけで育てる事を遺憾に思い、信用のある従者をつけて娘を京都にやり、都の婦人達の受ける上品な芸事を修業させるようにした。こうして教育 を受けて後、お園は父の一族の知人・・・ながらやと云う商人に嫁けられ、ほとんど四年の間その男と楽しく暮した。二人の仲には一人の子・・・男の子があっ た。しかるにお園は結婚後四年目に病気になり死んでしまった・・・