芥川 龍之介 作 世の中と女読み手:竹田 のり子(2010年) |
今の世の中は、男の作つた制度や習慣が支配してゐるから、男女に依つては非常に不公平な点がある。その不公平を矯正する為には、女自身が世の中の仕事に関 与しなければならぬ。唯、不公平と云ふ意味は、必ずしも、男だけが得をしてゐると云ふ意味ではない。いや、どうかすると、私には女の方が得をしてゐる場合 が多いやうに見える。たとへば相撲である。我々は、女の裸体は滅多に見られないけれども、女は、相撲を見にゆきさへすれば、何時でも逞しい男の裸体を見る ことが出来る・・・