高村 光太郎 作 山の雪読み手:菅野 秀之(2011年) |
わたしは雪が大好きで、雪がふってくるとおもてにとび出し、あたまから雪を白くかぶるのがおもしろくてたまらない。
わたしは日本の北の方、岩手県の山の中にすんでいるので、十一月ごろからそろそろ雪のふるのを見ることができ、十二月末にはもういちめんにまっしろに なったけしきをまいにち見る。このへんでは、平均一メートルくらいしかつもらないけれども、小屋の北がわでは屋根までとどき、地めんのくぼみなどでは人間 の胸くらいまでつもる・・・