野口 雨情 作 仲のわるい姉妹読み手:小川 幸香(2012年) |
ある村に、お杉とお紺と云ふ仲の悪い二人の姉妹(きやうだい)がありました。お母さんは、二人の仲がよくなるやうにと、いつも、心配をしてをりました。
ある晩方、つひ見たことのない、七八つ位のお芥子坊主が庭へ来て、
姉のお杉 妹のお紺
仲が悪くば 山の神様の
椋鳥さまに お頼みなされ
と、山の方を指さし指さし謡つてをりました。お母さんは、不思議に思つて、庭に出て行きますと、お芥子坊主は裏の橋を渡つ て逃げて行つてしまひました。お芥子坊主は、その次の晩方も、次の次の晩方も、同じやうに庭へ来て謡ひました。お母さんが出て行くと、いつも橋を渡つて逃 げてゆくのでした・・・