大倉 燁子 作 最初の印象読み手:加藤 純子(2013年) |
江戸川先生に始めてお目にかかったのはもう二十年近くも前のことです。
池袋のお宅のお座敷で、先生をお待ちする間、私の心は好奇心と不安が交錯していました。
と、いうのは、その頃。
「江戸川乱歩先生のお書斎にはドクロがつるしてある。お化けの人形がぶら下っている、その無気味な雰囲気の中で、先生は深夜人の寝鎮るのを待って、蝋燭の灯で仕事をされる」等々の記事が雑誌に掲載されたり、人の噂にのぼっていたからです。
とにかく先生は普通の方ではない、だからああいう小説がお書けになるのだと私は思っていました・・・