閉じる
高村 光太郎 作
読み手:アン荻野(2022年)
ご利用のブラウザではこの音声を再生できません。
あれが阿多多羅山、 あの光るのが阿武隈川。 かうやつて言葉すくなに坐つてゐると、 うつとりねむるやうな頭の中に、 ただ遠い世の松風ばかりが薄みどりに吹き渡ります。 この大きな冬のはじめの野山の中に、 あなたと二人静かに燃えて手を組んでゐるよろこびを、 下を見てゐるあの白い雲にかくすのは止しませう・・・