グリム 作 矢崎 源九郎 訳 オオカミと七ひきの子ヤギ読み手:堀口 直子(2022年) |
むかしむかし、あるところに、おかあさんのヤギがいました。このおかあさんヤギには、かわいい子ヤギが七ひきありました。おかあさんヤギは、ちょうど人間のおかあさんがその子どもをかわいがるのとおなじように、七ひきの子ヤギたちをかわいがっていました。
ある日、おかあさんヤギは、森へいって、食べものをとってこようと思いました。それで、七ひきの子ヤギたちをよびあつめて、こういいきかせました。
「いいかい、みんな、おかあさんは森にいってくるからね、そのあいだ、オオカミによく気をつけているんだよ。あいつがうちのなかへはいってきたら、おまえたちはまるごと食べられてしまうからね。あのわるものは、ちょいちょいすがたをかえてくるけれども、声はしゃがれているし、足はまっ黒だから、おまえたちだってすぐにわかるよ。」
すると、子ヤギたちは、・・・