ヴィルヌーヴ夫人 作 楠山 正雄 訳 ラ・ベルとラ・ベート
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むかし昔、ある所に、お金持の商人がいて、三人のむすこと三人のむすめと、つごう六人のこどもをもっていました。商人には、お金よりもこどものほうが、ずっとずっとだいじなので、こどもたちたれも、かしこくしあわせにそだつように、そればかりねがっていました。
三人のむすめたち、たれも、きれいに生まれついてきているなかで、いちばん末の女の子は、きれいというだけではたりない、それこそ照りかがやくように美しくて、まだ三つ四つのおさな子のときから、ラ・ベル――美し姫とよばれていたのが、大きくなるにしたがい、美人ということばは、このむすめひとりのためにあるようになりました・・・