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ハンス・クリスチャン・アンデルセン  矢崎 源九郎

絵のない絵本
絵のない絵本 第一夜~第二夜

読み手:西村 文江(2024年)

絵のない絵本 絵のない絵本 第一夜~第二夜

著者:ハンス・クリスチャン・アンデルセン/矢崎 源九郎 訳 読み手:西村 文江 時間:11分14秒

   絵のない絵本

 ふしぎなことです! わたしは、なにかに深く心を動かされているときには、まるで両手と舌とが、わたしのからだにしばりつけられているような気持になるのです。そしてそういうときには、心の中にいきいきと感じていることでも、それをそのまま絵にかくこともできなければ、言い表わすこともできないのです。しかし、それでもわたしは絵かきです。わたしの眼が、わたし自身にそう言い聞かせています。それに、わたしのスケッチや絵を見てくれた人たちは、みんながみんな、そう認めてくれているのです。
 わたしは貧しい若者で、たいへんせまい小路の一つに住んでいます。といっても、光がさしてこないというようなことはありません・・・

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