土田 耕平 作
読み手:今 美佳子(2026年)
村の鎮守さまのお祭で、さま/″\の見世物がかゝつてゐました。その中に、のぞき眼鏡の掛小屋があつて、番台の男が、
「さあ坊ちやんがた、一銭銅貨一枚で、ゆつくりのぞくことができますよ。」
とにこ/\顔で子供たちをあつめてをりました。
村の男の子たちは、お母さんからいたゞいたお小遣ひの中から、一銭づつ出して、のぞき眼鏡を見ました。太郎さんもその時、よその男の子たちと一緒に、その眼鏡をのぞいて見たのであります。
第一番目の眼鏡をのぞくと、昔の鎧武者が栗毛の馬にまたがつて駈けてくるところが見えました。それは大そう勇ましい姿でしたが、もと/\画にかいたものですから馬は前足を高くをどらせたまゝ、少しも動きませんでした・・・
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