豊島 与志雄 作
読み手:齊藤 雅美(2026年)
正覚坊というのは、海にいる大きな亀のことです。地引網を引く時に、どうかするとこの亀が網にはいってくることがあります。すると漁夫達は、それを正覚坊がかかったと言って大騒ぎをします。正覚坊が網にかかるときっと大漁がある、と言われているのです。漁夫達は皆集まって正覚坊をとり巻き、近所の家から酒をたくさん取り寄せて、それを正覚坊に飲ませます。正覚坊は酒が好きです。頭が赤くなるほど酒のごちそうになって、それから海に放されます。うれしそうに頭を打ち振りながら、波の上を沖の方へ泳いで行きます。漁夫達はその姿を見送って、残りの酒を皆で飲みながら、・・・
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