林 芙美子 作 鶴の笛読み手:加藤 純子(2014年) |
昔、ききんのつづいた年がありました。その村には鶴が大変たくさんいました。鶴たちは毎日、たべものを探して歩きましたけれど、どこにもたべものがないので、気の早い鶴はみんな旅仕度をして遠くへ飛んでゆきました。
すると、足の悪い鶴と、そのお嫁さんだけが、その村へのこることになりました。足の悪い鶴は、みんなのいなくなったさびしい沼地のふちの葦のしげったところに立ってみんなが飛びたって行った空をみていました・・・