小川 未明 作 赤い船とつばめ読み手:緒方 朋恵(2014年) |
ある日の晩方、赤い船が、浜辺につきました。その船は、南の国からきたので、つばめを迎えに、王さまが、よこされたものです。
長い間、北の青い海の上を飛んだり、電信柱の上にとまって、さえずっていましたつばめたちは、秋風がそよそよと吹いて、木の葉が色づくころになると、も はや、南の方のお家へ帰らなければなりませんでした。寒さに弱い、この小鳥は、あたたかなところに育つように生まれついたからです。
王さまは、もうつばめらの帰る時分だと思うと、赤い船を迎えによこされました・・・