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宮沢 賢治 作
読み手:凧野 頓太(2015年)
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なめとこ山の熊のことならおもしろい。なめとこ山は大きな山だ。淵沢川はなめとこ山から出て来る。なめとこ山は一年のうち大ていの日はつめたい霧か雲かを 吸ったり吐いたりしている。まわりもみんな青黒いなまこや海坊主のような山だ。山のなかごろに大きな洞穴ががらんとあいている。そこから淵沢川がいきなり 三百尺ぐらいの滝になってひのきやいたやのしげみの中をごうと落ちて来る・・・