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小川 未明 作
読み手:菅野 秀之(2015年)
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さまざまの草が、いろいろな運命をもってこの世に生まれてきました。それは、ちょうど人間の身の上と変わりがなかったのです。 広い野原の中に、紫色のすみれの花が咲きかけましたときは、まだ山の端に雪が白くかかっていました。春といっても、ほんの名ばかりであって、どこを見ても冬枯れのままの景色でありました。 すみれは、小鳥があちらの林の中で、さびしそうにないているのをききました・・・