新美 南吉 作 王さまと靴屋読み手:網野 嘉代子(2016年) |
ある日、王さまはこじきのようなようすをして、ひとりで町へやってゆきました。
町には小さな靴屋がいっけんあって、おじいさんがせっせと靴をつくっておりました。
王さまは靴屋の店にはいって、
「これこれ、じいや、そのほうはなんという名まえか。」
とたずねました。
靴屋のじいさんは、そのかたが王さまであるとは知りませんでしたので、
「ひとにものをきくなら、もっとていねいにいうものだよ。」
と、つっけんどんにいって、とんとんと仕事をしていました・・・