村山 籌子 作 川へおちた玉ねぎさん読み手:菅野 秀之(2016年) |
ある町にジヤガイモ・ホテルといふ宿屋がありました。主人といふのが、ジヤガイモだつたからです。
主人のジヤガイモさんは大変親切な人だつたので、このホテルにはお客様がいつも多すぎて、どうかすると、一晩に、二人や三人のお客様をことわらなければならぬこともありました。
ある夕方、もう、この上一人のお客様も泊めることが出来ない程、満員になりましたので、「満員になりましたから、お気の毒でも、今晩は、どなたもお泊め 出来ません。」といふ大きな満員札をジヤガイモさんは、ホテルの入口にかけようとしました・・・