新美 南吉 作 狐のつかい読み手:室 由美子(2017年) |
山のなかに、猿や鹿や狼や狐などがいっしょにすんでおりました。
みんなはひとつのあんどんをもっていました。紙ではった四角な小さいあんどんでありました。
夜がくると、みんなはこのあんどんに灯をともしたのでありました。
あるひの夕方、みんなはあんどんの油がもうなくなっていることに気がつきました。
そこでだれかが、村の油屋まで油を買いにゆかねばなりません。さてだれがいったものでしょう。
みんなは村にゆくことがすきではありませんでした。村にはみんなのきらいな猟師と犬がいたからであります・・・