ハワード・フィリップス・ラヴクラフト 作、大堀 竜太郎 訳 ダゴン読み手:由良 瓏砂(2017年) |
かなりのストレスを感じながら、これを書いている。今夜にはもう、生きていないだろう。金も、頼みの綱のクスリも尽きた。これ以上、苦しみには耐えられない。この屋根裏の窓から、下のうす汚い通りに、身を投げることにしよう。モルヒネ中毒が原因で、身体が弱り、精神も堕落したのだと考えないでほしい。乱雑に走り書いたこの文章を読んでもらえば、完全に理解するのは無理にしても、一体全体なぜ私が忘却や死を望んでいるのか、見当はつくと思う。
船荷監督として乗船していた定期船がドイツの襲撃艇に捕らえられたのは、広い太平洋のなかでも一段と広々として、船の往来がめったにない海域だった・・・
・この作品は青空文庫に提供されています。
◇翻訳者:大堀 竜太郎
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