ペロー 作、楠山 正雄 訳 猫吉親方
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一
むかし、あるところに、三人むすこをもった、粉ひき男がありました。もともと、びんぼうでしたから、死んだあとで、こどもたちに分けてやる財産といっては、粉ひき臼をまわす風車と、ろばと、それから、猫一ぴきだけしかありませんでした。さていよいよ財産を分けることになりましたが、公証人や役場の書記を呼ぶではなし、しごくむぞうさに、一ばん上のむすこが、風車をもらい、二ばんめのむすこが、ろばをもらい、すえのむすこが、猫をもらうことになりました。すえのむすこは、こんなつまらない財産を分けてもらったので、すっかりしょげかえってしまいました・・・