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三好 達治 作
読み手:詩真(2018年)
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雪どけの峽の小徑を 行く行く照らしいだす わが手の燈火 黄色なる火影のうちを 疲れて歩む あはれ わが脚の影 重い靴 濡れた帽子 冷めたい耳 空腹 ――旅人と 身をなして 思ふことさへ うつつない ああ このひととき