高村 光太郎 作 啄木と賢治読み手:水野 久美子(2019年) |
○岩手県というところは一般の人が考えている以上にすばらしい地方だということが、来て住んでみるとだんだんよく分ってきました。此の地方の人の性格は多く誠実で、何だか大きな山のような感じがします。為ることはのろいようですが、しかし確かです。天然の産物にも恵まれていて、今にこれがみんな世の中に利用されるようになったら、岩手県は日本の宝の蔵になるでしょう。
○人物にも時々たいへんすぐれた人が出ています。文芸方面でいえば、石川啄木、宮澤賢治などという詩人が出たことは、もう皆さんも知っていることでしょう。啄木の歌や、賢治の詩は学校の教科書にものっていたと思います・・・