小川 未明 作 雪だるま読み手:中田 真由美(2020年) |
いいお天気でありました。もはや、野にも山にも、雪が一面に真っ白くつもってかがやいています。ちょうど、その日は学校が休みでありましたから、次郎は、家の外に出て、となりの勇吉といっしょになって、遊んでいました。
「大きな、雪だるまを一つつくろうね。」
二人は、こういって、いっしょうけんめいに雪を一処にあつめて、雪だるまをつくりはじめました。
そこは、人通りのない、家の前の圃の中でありました。梅の木も、かきの木も、すでに二、三尺も根もとのほうは雪にうずもれていました。そして、わらぐつをはきさえすれば、子供たちは圃の上を自由に、どこへでもゆくことができたのであります。
頭の上の空は、青々として、ちょうどガラスをふいたようにさえていました・・・