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小川 未明

お月さまと ぞう

読み手:渡邊 明美(2020年)

お月さまと ぞう

著者:小川 未明 読み手:渡邊 明美 時間:2分21秒

 正ちゃんと よし子さんが、ごもんの ところへ たらいを だして、水を いれると、まんまるな 月の かおが うつって、にこにこと わらいました。
「さあ、わたしを よく みて ください。」
と、月が いいました。
「大きな お月さまね。」
と、よし子さんが よろこびました。
「あの くろいのが うさぎかしらん。」
と、正ちゃんが あたまを かしげました。
「ほんとうの うさぎ?」
と、よし子さんが ききました。
「ああ、ぼうえんきょうが あると、よく わかるのだよ。」
 正ちゃんは あおむいて、お月さまを ながめました。
「わたし、くびが いたく なるから、おたらいのを みましょうよ。」
 この とき、あちらが がやがやしました。
「ごらん、ぞうが きた。」
と、正ちゃんが びっくりしました・・・

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