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小泉 八雲 作 田部 隆次 訳
読み手:みきさん(2021年)
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昔、江戸霊岸島に喜兵衞と云う金持ちの瀬戸物店があった。喜兵衞は六兵衞と云う番頭を長く使っていた。六兵衞の力で店は繁昌した、――余り盛大になって来たので、番頭独りでは管理して行かれなくなった。そこで、経験のある手代を雇う事を願って許された、それから自分の甥を一人よびよせた――以前大阪で瀬戸物商売を習った事のある、二十二ばかりの若者であった。 この甥は甚だ役に立つ助け役であった・・・