竹久 夢二 作 人形物語読み手:ちくわさん(2021年) |
1
あるちいさな女の児と、大きな人形とが、ある日お花さんのおうちをたずねました。
ところが その女の児は、それはもうほんとに、ちいさな女の児で、その人形はまた、それはそれはすばらしい大きな人形だったのです。
それゆえ、お取次に出た女中には、人形だけしか眼に入らなかったのです。女中はおどろいてお花さんに、
「まあお嬢さま! 大きなお人形さんがお嬢さまに逢いにいらっしゃいましたよ」と言いました。
2
「玉ちゃん」茶の間で、お母様の声がする。
「はあ」と愛想よく玉ちゃんは答えました・・・