信時 潔 作 歌詞とその曲読み手:成 文佳(2021年) |
うたという言葉が示すように、詩と音楽は上古以来今日までさまざまに結合され、ことに我国の音楽では声楽が断然器楽に優先し、楽器を主体とする曲や、リズムを強調する舞踊音楽にまで、歌のついているのが多い。この傾向は洋楽が入ってからも依然続いており、我国の音楽の進路に重要な意味を持っている。今日ではちょっとした歌曲でも作詞と作曲は別人であり、通例詩が先にできていて、作曲者がそれを歌詞として作曲するのである、近頃は初めから作曲を予想した歌詞もあるが、それはむしろ例外で、通例詩作の際それが作曲される場合のことはあまり念頭におかず、ただ読む詩、あるいはせいぜい朗誦するものとして作られ、・・・