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北大路 魯山人

魂を刳る美

読み手:會田 典子(2021年)

魂を刳る美

著者:北大路 魯山人 読み手:會田 典子 時間:4分51秒

 陶器だけで美はわからぬ。あらゆるものの美を知って、それを通して陶器の美もわかる。そして本当にわかるということは、本当にそのものに惚れることである。
 本当に惚れることが出来るか、これが問題である。下手ものにでも自分が真剣に惚れるなら、そのものの持ち味だけはわかるだろう。多くは他動的である。他人の言葉に引きずりこまれることが多い。甚だしいのは美に見えなくて金に見える。また、半分美に見えて、半分金に見えるというのもある。
 各自の眼には程度がある。各自の力の範囲だけしかわからぬ・・・

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