スチーブンスン 作 新美 南吉 訳 僕の国読み手:角田 佳代(2021年) |
光つて泉の湧くそばに
僕の小さな窪がある。
僕の丈ほどふかくない。
はりえにしだなど生えてゐる。
夏には夏の花が咲く。
黄つぽい花や赤い花。
泉を僕は海と呼ぶ
あたりの丘を山と呼ぶ。
そんなに僕は小いのだ。
僕はつくつた舩や町。
僕はさがした洞や穴。
洞や穴には名をつけた。
あたりのものは僕のもの、
頭の上の雀でも、
泉の中の小ばやでも。
ここでは僕は王様だ。
僕は蜂どもうたはせる。
僕は燕をあそばせる・・・