スチーブンスン 作 新美 南吉 訳 誰か読み手:角田 佳代(2021年) |
僕等が原にゐる時は、
誰かこつそりやつて来る。
僕等がたのしくゐる時は、
誰か森からやつて来る。
誰だかちつともわからない、
どんな姿かわからない。
けれどきつとよ、やつて来る、
僕等がたのしくゐる時は。
桂のなかや草の上、
僕等と一しよに歌うたふ。
僕等がたのしくゐる時は、
きつと誰だかそばにゐる。
僕等が穴をほる時は、
その穴のなかもぐりこむ。
僕等がおもちやで遊ぶ時、
錫の兵士とならんでる。
僕等が毎晩ねる時は、おやすみよつくと必と言ふ。
そして僕等がねてる時、
おもちやの箱の番してる。