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小川 未明

金めだか

読み手:齋藤 こまり(2021年)

金めだか

著者:小川 未明 読み手:齋藤 こまり 時間:1分5秒

 陽の光りが、庭先の鉢のところまでとゞくようになりました。なみ/\といれた水の面へ、かあいらしい金めだかが、四つ頭をならべて、せわしそうに鰭をうごかしながら、光りを吸おうとしています。もっと大きいのも沢山いたが、冬を越す間にこれだけとなりました。
 いま、芽ぐんでいる睡蓮が、やがて鉢いっぱいに葉をのばして、黄色な花を咲くころ、その間を泳ぎまわり、卵をつけることだろうと思うと、何となく、この色の鮮かなめだかの将来を、輝やかしく思うのでした。

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