ヤ―コップ、ウィルヘルム・グリム 作 金田 鬼一 訳 死神の名づけ親(第一話)読み手:藤崎 巧子(2021年) |
びんぼうな男が、子どもを十二人もっていました。それで、その子どもたちにパンをたべさせるために、男は、いやおうなしに、昼となく夜となく働きつづけました。そこへ十三人めのが産声をあげたものですが、こまってばかりいてもどうにもならず、ままよ、いちばんはじめにばったりでくわした者を名づけ親にたのんでやれとおもって、大通りへとびだしました。
男にでくわした初めてのもの、それは神さまでした。神さまには、男のくよくよ思ってることがちゃんとおわかりですから、
「かわいそうに! 気の毒な人だね。わしが、おまえの子どもに洗礼をさずけてあげよう、その子どものめんどうをみて、この世で幸福なものにしてあげよう」と、・・・