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片山 廣子

鷹の井戸

読み手:アン荻野(2022年)

鷹の井戸

著者:片山 廣子 読み手:アン荻野 時間:5分

 今は世にないアイルランドの詩人イエーツが書いた舞踊劇の一つに「鷹の井戸」といふのがある。その鷹の井戸がこの世にあるとしたら、どの辺にあるのだらうか? 詩人の言葉を借りてみよう。
「はしばみの枝々うごき 日は西にしづむ
 風よ 潮かぜよ 海かぜよ
 いまは眠るべき時なるを
 なにを求めてさまよひ歩く」
 その西に沈む夕日も見られて、潮風に吹きさらされた小さい島である。岩と石の険しい道をのぼつて行くと、三本の榛の樹がどんぐりを落し枯葉をおとす井戸があつた・・・

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