小川 未明 作 お化けとまちがえた話読み手:中田 真由美(2022年) |
ある田舎に、二郎という子供がありました。よく隣の家へ遊びにゆきました。
その家には、二郎といっしょになって、遊ぶような子供はなかったけれど、女房は、二郎をかわいがってくれました。
「おばさん、あの赤いかきの葉をとっておくれよ。」と、二郎は、裏にあったかきの葉をさしていうと、女房は、仕事をしながら、
「いま、これが終えたら、取ってあげますよ。」
と答えて、仕事がすむと、さおを持ってきて、二郎のほしいというかきの葉を取ってくれたこともあります。
「おばさん、つるを折っておくれよ。」と、二郎は頼むと、女房は、
「はい、はい、いまこれがすむと折ってあげますから待っておいでなさいね。」といいました・・・