閉じる

閉じる

小川 未明

お化けとまちがえた話

読み手:中田 真由美(2022年)

お化けとまちがえた話

著者:小川 未明 読み手:中田 真由美 時間:9分4秒

 ある田舎に、二郎という子供がありました。よく隣の家へ遊びにゆきました。
 その家には、二郎といっしょになって、遊ぶような子供はなかったけれど、女房は、二郎をかわいがってくれました。
「おばさん、あの赤いかきの葉をとっておくれよ。」と、二郎は、裏にあったかきの葉をさしていうと、女房は、仕事をしながら、
「いま、これが終えたら、取ってあげますよ。」
と答えて、仕事がすむと、さおを持ってきて、二郎のほしいというかきの葉を取ってくれたこともあります。
「おばさん、つるを折っておくれよ。」と、二郎は頼むと、女房は、
「はい、はい、いまこれがすむと折ってあげますから待っておいでなさいね。」といいました・・・

Copyright© 一般社団法人 青空朗読. All Rights Reserved.