寺田 寅彦 作 卵の形読み手:佐藤 亜里(2022年) |
卵形といえば一方が少し尖った長円い形にきまったようなものであるが稀には円形の卵もある、亀、梟などがその例である。また鵜やかいつぶりの卵などはほとんど両端の丸みが同じで楕円形をしている。しかし一般にはほとんどいわゆる卵形で一方が尖っている。特に著しいのは千鳥や海鴨などのである。
こんな風に卵が色々の形をしているのは何故だろうと物好きな学者は研究したものである。先ず自然淘汰の結果として説明するものが多い。例えば海雀の卵は多く絶壁の岩の上に産まれるので円錐形に尖ったのの外は岩から転げ落ちてしまうと考えられている。また片方の尖っている方が親鳥の腹の下へ沢山詰め込むのに都合がよいからだという説もある・・・